自分用の机

ガウディはその生涯に数々の家具をデザインすることになるが、その最初のものは自分用の事務机であった。それは中央に引き出し、その両側にキャンティレバー状に突き出た腕が大きな箱を支え、そのふたつの箱の上には本棚用の一枚板で繋がれ、むしろ箱を吊り下げている格好になっているというもので、この家具のスケッチを見た家具職人は、ベルリンとパリでその腕を磨いた人であったが、その安定性を疑ったという。つまり、キャンティレバーがどうして大きな箱を支え得るかが理解できなかったのだ。
ガウディはこの家具職人を押し切って家具を作らせたが、ガウディの強情さに憤慨してこう語ったのである。「セニョール・ガウディは何でもややっこしく、し過ぎてしまう。彼に洗面台を作らせようなものなら、籠を作ってよこしますよ。」またこれに答えたグエル家の人は「もっともです。でも水の漏らない籠を作りますよ」といった。この家具はガウディが繰り返し使う龍のモチーフがかなり様式化されて袖箱に彫られているほどで、その芸術性をうんぬんするよりも、むしろ実用的らしくデザインされているが、既に明らかな構造革新家としてのガウディの素養がここに見られるようである。

自分用のデスク

机のスケッチ
Ràfolsがガウディの本を書くときに撮らせた写真で、家具自体は現存しなくこの写真だけが残されている ガウディの没後に撮影されたものであるので、基本的にガウディが使っていた状態で撮られたものと考えられる