3/10 サンタ・テレサ学院


アビラの市壁に囲まれた町

マドリッドの近郊アビラの街に、1515年生まれたテレサユダヤ系の裕福な家の出で、18歳の時にカルメリータ修道会に入る。ところが神の爱に近づくために魂の完&化を求めて、より厳格な修道規律への改革をすすめ、新たに"素足のカルメリータ修道会"を創立させた。それは凍てつく冬もサンダルだけで歩いたことから由来するが、彼女は魂と神との触れ合いについて語るとき、情熱がクライマッタスに達すると身体が床から浮き上がったといい伝えられる。
この聖テレサを祖とした学校と僧院がガウディの新しいテーマとなった,これはサグラダ・ファミリア教会、アストルガの司教館に次ぐ宗教建築であるが、前者がモニュメンタルを要求され、後者が経済的襄付けを確保されていたにもかかわらず、この学院では簡素と実用性、それに加えて経済性が要求されたのは,聖女テレサの説話からも察せられる通りである。
学院は当時低層の庭付き住宅がまばらに建つバルセロナ郊外、現在では高級中層住宅の建ち並ぶところに敷地を得た。全体計画では3棟;U字型にされたが、ガウディによって実現されたのはそのうち一楝だけである。学院はその後1912年になって第2期工事をガウディに依頼するのだが、ガウディはそれを断っている。それ以前1908年から1910年の問、サンタ・テレサ学院の最終的な全体計画が完成していたにもかかわらずのことであるが、既にガウディのテーマは、グエイ公圃とかコロニア・グエイ聖堂によって、サンタ・テレサ学院の機械主典建築から、有機的、自然主義空間を目指していた。


1972年3月16日撮影