Deta del Ebro 2011.12.24


クリスマスはたいてい日本にいるのだけれども、今年は事情があって残ることにした。さて、クリスマスをどう過ごそうかということで、最初に浮かんだのが近場のパラドールでクリスマスを過ごそうということだ。近くというと北はコスタ・ブラバのがある。Aiguasblavaの設計者は知らないけれどもネットで調べるとSáinz de Vicuñaという人らしい、ちょっとル・コルビュジェっぽいけれどもパラドール中ではなかなかの名建築だし、松林を抜けて岩場の上に出るというサイトが素晴らし。内陸ではロマネスクの教会堂があるCardonaの城、そこからそれほど遠くないSau湖のパラドール、南へ行けばTortosaのパラドールがある。今まで泊ったことのないパラドールはトルトーサだからということで、トルトーサに決める。クリスマス・イブだというのに部屋も空いていた。バルセロナから150キロ程度、それも高速があるから行きやすい。
トルトーサには色々思い出があるけれども、このパラドールは建設前に見たことがある。城跡が町を見下ろすところにあって、このSuda城跡に宿泊施設が造られたのだけれども、城跡を見に行ったことがある。この時1972年4月にはまだ着工すらしていなかった。
さて、このトルトーサは地方都市としては栄えているのは近くにあるエブロ河のデルタ地帯のおかげといってもいい。トルトーサはこの要のような位置にあって、イべロ時代にもHiberaという名前で繁栄していたらしい。ローマ時代にはDeltosaというように、時代時代にもデルタの恩恵を受けていたところだ。
というわけでスダのパラドールへ行く前にこのデルタに出てみた。ここはあらたか自然公園として規制があるので昔ながらの姿がまだ残っているだろうという思いもある。スペインに来てはや40年だけれどどこに行っても昔のよい面影というのがなくなってしまって、高速道はできて便利になったのは確かなのだが、風景がなくなってしまったのだ。これは世界中同じ現象なのだろうけれども、何んとも再度尋ねるというのがつらい。
エブロはドゥエロ河に次ぐ半島2番目の水量を誇る大河。ドゥエロはポルトガルポルトに流れているからエブロ河がやはり自然の恩恵を一番受けている事になる。トレドを取り巻くタホ河に次ぐスペインでは長さから言えば第二の河という事になる。


エブロは昔からこの豊富な土壌と水量を利用して米作が盛んで、気候もいいので二期作をしている。今は農閑期だろうか、刈り取ったあとがそこここで見える。スーパーでよく見かけるお米のパッケージで知っているメーカー名の入ったサイロがいくつかある。デルタだから当然だけれどもどこまで行っても平ら、時々集落らしいものはあるけれどAmpostaから先に行けば同じような風景だ。デルタもどんどん上流のダムのせいで痩せていっているとはいえ、320Km2の面積が平らというのはやはり得意な風景だ。自然保護のせいで野鳥が飛び交う、これは米作には悪影響はないのだろうか、日本のようにかかしも見えなかった。ところどころバラッカと呼ばれる小さな家が残っている。このバラッカは基本的には住んでいるのではなく、農業従事者が昼休みとか忙しい時に使うものだろうか、泥壁に藁ぶき、煙突が必ずある。この藁を抑えるために棟部分は抑えがしてある。のどかな風景で、ここにパラドールが欲しい。


1970年代に行った時はまだ田植えは手でやっていた


今もまだ残っている農家が使っているバラック

デルタの最先端は砂丘