カサ・バトリョ Casa Batlló

所在地:Passeig de Gràcia, 43

作品解説
一九〇四〜〇六年建設。 一八七七年に建てられたパセオ・デ・グラシアの建物が繊維業ジョセップ・バトリョ・カサノバによって買い取られると、撤去工事の申請が行われた。(一九〇一年) ガウディはしっかりした躯体をリサイクルして使うことをクライアントに薦めで改装することになった。一九〇四年五月にこれが決まったのだろうバトリョ氏は地下の改装の申請を市役所に申し込んでいる。どうもこれがガウディのこの建物へのサジェッションが認められて、設計が始まったことを裏づけする日付のようだ。
この平坦であった既存のファサードにうねりを与え、ポリクロミーなセラミックを貼り、内部ではさらに角がえぐられ、天井には渦が巻いている。 ドアは一枚一枚がそれぞれ彫刻作品で、特殊な形の家具、金物、タイルがガウディの手によって捏ねられた。
ル・コルビュジェは、ガウディの作品を見て「プラスティシティーの極地に達している」と評しているが、それは、彼がデザイン・プロセスのなかで定規を使うのではなく、石膏模型や粘土を使ってデザインしていたからであった。 ガウディはバルコニーや鉄細工をデザインするにも、石膏や粘土で原寸模型をサグラダ・ファミリアの工房でつくり、それを職人に見せてつくらせた。 だからこそガウディの作品は、すべて三次元に完成されていて、どの方向から見ても造形ができているのだ。
圧巻はバトリョ家が住んだ主階。サロン、マントルピース、家具式チャペル、ベンチ、椅子、ドア、小家具など現在はほとんどが散逸してしまったが、密度の高いデザインを残している。
近年ではジョセップ・マリア・ボテイがファサード下部の修復、地下、一階などの改装をしている。ファサード下部は完成当初の写真を見ると正面床レベルで半円形の開口が開けられていたことが分かる。これは地下の換気に使うことが考えられていたのだが、その後、八十年代まであったインテリアの店に改装されるときに取り払われてしまった。但し、現在、エントランスが左右対称に作られているが、これはボテイの改装後、オーナーが勝手に作ったもので、ガウディの設計はあくまでシンメトリーではなかった。これはファサード最上部の俗にドラゴンと呼ばれている、水槽を覆う部分でも同様で、ガウディは左に十字の付いた塔を置くことでシンメトリーを崩している。

内部は年中、9時から21時まで見学可能
http://www.casabatllo.es/
アクセス:地下鉄(L3, L5)Passeig de Gràcia下車。二分。


手で彩色された絵葉書 この一階エントランスドアの黄色の部分は現在では金箔が貼られている

70年代のファサード下部

テーマパークされている現在のカサ・バトリョ