バルセロナのガウディ建築案内番外編⑪

薬局ジベルトLa Farmacia Gibert
1879年建設 
グエルの父、ジョアン・グエルは南カタルーニャのトーレデンバーラ(Torredembarra)の出身であったが、ジベルト家は同地で代々薬局を開いていた。これで設計依頼の経過が分かってくる。しかもジベルトの子孫は後年になってグエルの紹介で、ガウディはこの設計依頼をされたと明言している。これが正しいかどうか、今となっては確かめる手がないわけだが、もしこれが本当だとするとグエルはパリから帰ってもよほどガウディが気になっていたのだろうか。あるいはよほど懐疑心のある人物なのか、他人にガウディを紹介して、腕前を見るために引き合わせたのだろうか。
この最初期とも言える内装の仕事は写真が残されているものの建物自体が取り壊されてしまい現存しない。写真からするとガウディ特有のレタリングが看板に使われているほか、内部にはコミージャスのためにデザインした一連の作品に似ている。その後1889年に薬局は手放されて、撤去、改装され家具もベンチ以外は行方が分からなくなっているが、そのベンチも子孫が古道具屋に売り払っているところまでは分かっているのだが、今はその行方は分からなくなっている。
その後カタルーニャ広場ができ、現在はFontanell通りとパセオ・デ・グラシアの交差点ちょうどデパートがある場所にあったことになる。皮肉にもこのデパートではガウディのお土産物がわんさと並べられている。
所在地:Passeig de Gàcia, 4(旧)
アクセス:地下鉄L1, L3, L6 Plaça Catalunya