バルセロナのガウディ建築案内番外編⑬

グエル家管理人の家Casa del portero en el terrado para Palau Güell

グエル邸の構成は前の通りが狭いこともあり、車寄せが建物の中に作られているのがまず特徴。馬車あるいは馬から下りるとメイン・フロアに繋がる階段があるが、それ以外の諸室はサービス・スペースとなっている。階段の左側は門番の詰め所、またさらに奥には馬車の置き場がある。馬車はファサードの両側の部屋に更に幅がとれなくなっていて、車が回りきれないために一方通行になっている。つまり正面にある2つのアーチの左側から入って、右側から出るように考えられている。馬小屋はこの地下にあり、馬車置き場から階段が繋がっている。前の道が狭いのことかで建物内にこうして車寄せを作っている。主階には階段を上がったところにグエルの執務室があり、ファサード側に進むとサロンの前室があり、チャペルとオルガンがある大サロン、婦人たちのサロンなどがある。このピアノ・ノビレから更に比較的質素な階段を上がるとプライベート・スペースがある。グエルと奥さんのためのプライベートなサロン、各自の寝室、トイレなどで、これが、メインのサロンの吹く抜け部分を囲むようにして配置されているためグエルは誰が来たかも覗き見ることができる。これは婦人たち用の控室も同じで、細い通路ができていて、透かしを通して下の様子が覗けるようになっている。最上階は屋根裏階で、現在の修復では再現されなかったのだが、細かく細分されて女中部屋がぎっしり作られていた。
管理人の家はプログラムとして組み込まれなかったのだろう。ガウディは周辺の家も買収することをグエルに進言しているが、これ以上の土地を手に入れることができなかった。そして別の建物に管理人の住居が作られたのであろう。グエル邸の一軒おいた建物の屋上にそれが作られた。今では何も残されていない。しかも、ガウディはこの管理人の家のプロジェクトにサインしただけかもしれない。今となっては誰が知ろうか。
所在地:Nou de la Rambla, 9
アクセス:地下鉄(L3)Liceu下車。歩いて数分。

昨年11月に出た以下の本の番外編です

バルセロナのガウディ建築案内 (コロナ・ブックス)

バルセロナのガウディ建築案内 (コロナ・ブックス)