バルセロナのガウディ建築案内番外編⑮

エスコフェ社Escofet y Cia
モザイク・タイル製作会社。エスコフェが普及させたタイルは俗に油圧モザイクと呼ばれるもので、もともとは1857年のパリ万博で大理石の代用としてバルセロナのGarret, Rivet社が発表したものであった。この製法はこの名前が示すように、製法は顔料(大理石粉)を入れた砂と白セメントを混ぜたものを金属の型に入れ、これを油圧ジャッキを使って圧縮するというもの。これで摩擦消耗を軽減する。さらにモデルニスモ期のモザイク・タイルの特徴は、無論華やかなフローラルな模様を入れるために、20,25?のこの顔料の入った白セメントと砂を、真鍮などで描かれた型に、それぞれの色を振り分けて流し込み、その上の水分を吸い取るためにセメントと砂を混ぜたものを同じ程度の厚で流し込み、最後に更に接着性能を向上させるために荒いセメントを使い、レンガと同じ厚とし、これに圧力をかける。型から取り出した後は1日水をまきながら養生し、さらにセメントが強度がでるまでの28日日陰で乾かすという工程を踏んでいる。
この材料の利点はもちろん大理石より原材料のコストが安い、しかも焼成する必要がないために燃費もかからない。しかも型抜きなわけだから大理石のように一片ごとに寸法を取って、カットする必要もないということだった。
この技術をいち早く取り入れて、企業的な成功を収めたのがエスコフェであった。
会社自体もその技術開発が完成し、モデルニスモの爆発的な建築ブームの真っただ中の1886年に設立され、現在も株式会社Escofet 1886として存続している。モデルニスモの時期に遭遇し、数多くのモザイク・タイルを製造販売したが、時代の著名な建築家にデザインを依頼、豊富なプロダクトを残している。その中にはドメネク・イ・モンタネール、プーチ・イ・カダファルク、エンリック・サグニエールなどのデザインしたものから、ガウディのものも含まれている。ガウディはカサ・バトリョのためにデザインしたが、実は製造が間に合わず、ラ・ペドレラで使ったというタイルもある。これは6角形で、不整形なプランにも嵌めこみやすいというデザインであるが、他のモデルニスタたちがデザインした2次元のデザインではなく、ガウディのものはモノトーンであるのだがレリーフが付いて3次元になっている。
現在のバルセロナのパセイジ・デ・グラシアなどの歩道に使われているものは、この会社の製造によるものだが、公道であり滑りにくするという理由でレリーフの凹凸が逆になって、周りにも額が取りついてる。本店は現在レストランになっていて、ガウディのデザインしたエスコフェ社のタイルはカサ・ミラでもちろん見ることができる。

所在地:Ronda Universidad, 22
アクセス:地下鉄(L1, L5)Plaça Catalunya下車。徒歩5分。