バルセロナのガウディ建築案内番外編⑰

ボカベージャの本屋ボカベージャの本屋
サグラダ・ファミリア建設の発起人ジョセップ・マリア・ボカベージャ(Josep Maria Bocabella, 1815-92年)は宗教書を扱う本屋(l'antiga llibreria religiosa de la vídua Pla)を経営していた。この本屋のあった建物が今も残っている。プリセサ通り(carrer de la Princasa)は1820年から23年にかけて市役所が旧市街区で最初に大改造をして出来た通り。名前は通りの建設が完成した2年前の1853年に生まれたガウディも面識のある王女イサベル2世の子、イサベル・デ・ボルボン・イ・ボルボン(Isabel de Borbón y Borbón, 1851-1931年)の長女として生まれている。全長550mほどあるこの通りは、真っ直ぐに旧い市街区を突き切っているが、この間、ほぼ直行するように現在ピカソ美術館のあるモンカダ通りがあり、更に後年切り開かれたラエターナ通りと直行している。
このプリンセサ通りをラエターナ通りから入るとすぐ右手に旧街区の姿を残した細い道がある。これがコトネルス通りつまりカタルーニャ語でコットン屋といういみであるので、この辺りは産業革命時代の息吹が名前に残ったのだろうか。こんなプリンセサ通りのできるまでは結構重要な道だったのかもしれないところにボカベージャが経営していた本屋があった。誰からも忘れられておみやげ物屋になっているが、サグラファ・ファミリアのファンデーションや市役所は記念すべきこの建物にプレートを置くべきではないのか。
所在地:carrer dels Cotoners, 2
アクセス:地下鉄Jaume I下車5分


プリンセサ通りのファサード。現在ではもちろんこちらがメインとなっているが、もともとはなかった。

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バルセロナのガウディ建築案内 (コロナ・ブックス)

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