バルセロナのガウディ建築案内番外編(24)

ガウディのディプタシオの家 Vivienda Gaudí de Diputació
1889年ガウディはコンセイ・デ・セントの家からまたまた引越ししている。引越しの理由は分かっていないが、ちょうどガウディがサグラダ・ファミリアの仕事をもらい、学生時代から住んでいたあまりにも質素な住宅からもう少しまともな家に移り世間体をつくろうためだったのだろうか。この時浮かび上がるのが万博の時の関係者入場者パスに使われたガウディの写真である。頭を剃っているのだ。外見を気にして目立ちたい、そして仕事を取りたいという今だガウディの血気盛んな時代でもあったのだ。といっても前の家と同じようなマエストロ・デ・オブラが建てただろう無表情な建物ではあるが、確かにこちらの方が天井も高い、玄関ホールも広い。外観も下部は石積み、上部はレンガの化粧積みで間口さえも広い。共通しているのはここでもガウディはエレベーターのない最上階を借りている。日本でいう4階にあたるので日当たりも、風通しもいいだろうが日常生活は大変だったのではないだろうか。現在は玄関まわりが改装され、小奇麗になりどうやら事務所と住宅が雑居して使われているようだ。
当時はこの一帯はサン・マルティン・デ・プロベンサルス(San Martín de Provensals)というバルセロナの隣町だった。このサン・プロベンサルスは 1897年にバルセロナ市と合併し、市の一部になったわけであるが、19世紀末にはまさに新興住宅地ということだったのだろう。
そしてさらに1905年、ガウディは老いた父親の事を思い、この家を出て空気のいい、風通しもいいグエル公園のなかの一軒家に移っている。あるいはすでに引っ越しして、余生を過ごしていたグエルを慕ってのことかもしれない。
所在地:Carrer Diputació 339, 3º2ª
アクセス:地下鉄L4 Verdaguer下車10分