バルセロナのガウディ建築案内番外編(26)

グラネ邸Finca Graner 
1904年設計。画家グラネ(Lluís Graner i Arrufí, 1863−1929年)については本編の56ページを参照してもらいたいが、なかなか食えない人物であった。若い頃は奨学金と友人からの送金を頼って生活をしていた。オットー・ワーグナーのあらゆる分野の芸術を統合するという論理に啓蒙され、バルセロナへ戻ると、1904年の1月にはバルセロナ市役所に映画館兼実験劇場「サラ・メルセ(Sala Mercè)」の建設許可の申請をしている。この建築のプロジェクトはガウディが担当しユニークなプランを実現させているが、グラネは自宅の設計もガウディに依頼している。これはグエル公園カサ・バトリョパルマのカテドラルと、ガウディがプロとして一番充実している時期のことであった。ガウディの最初の伝記作家、ラフォイスがガウディ没後、本を書くときにサグラダ・ファミリアアーカイブから見つけてスケッチを2枚写真に撮っているために未完に終わってしまったこのプロジェクトのことが若干分かっている。それには2層に屋根裏階があり、十字の付いた搭が描かれている。プランは外観はすべて角が取れ、構造は柱構造で、どうやら間仕切りはスライド式らしく、非常に開放感のあるものとなっている。一見するとそうあのグエル公園の入り口にあるパビリオンにスタイルが似ている。
この敷地はベジェスグアルドにごく近い場所にあって、庭もある一軒家であり、着工して門と敷地の境界線の壁は完成するものの、グラネの破産で工事はストップしてしまう。現在ではこの壁の基礎がわずかに確認できる。同邸にあったメイン・エントランスの俗に「鳥の門」と呼ばれるモーロ家の門は完成されたらしいが、現存していない。これのコピー作品と見られるものがコミージャスに現存している。「これについては後述)

所在地:Calle de la Immaculada, 44-46
アクセス:FG Tibidabo下車20分

バルセロナのガウディ建築案内 (コロナ・ブックス)

バルセロナのガウディ建築案内 (コロナ・ブックス)