バルセロナのガウディ建築案内番外編(30)
バディアの工場 Los Talleres Badia
1904年。ガウディは職人を常に抱えていた。そうすることでコミュニケーションも楽になる、やりたい事が容易に伝わる。鉄細工製作で色々なプロジェクトに携わったのはジョセップ、リュイスというバディア兄弟である。彼らはもともとジョアン・オニョスのもとで仕事をしていた。オニョスはカサ・ビセンスの棕櫚の葉をあしらった門扉を製作した人で、ガウディの初期からの信頼のおける共同者であった。ガウディはカサ・ビセンス後も彼に仕事を依頼していて、グエイ館では正面入り口の鉄細工なども担当した。しかし、この工事ではガウディから難題を出されるのを恐れてガウディが現場に現れると逃げ回ったという。バディア兄弟はこのグエイ館でもオニョスと仕事をしたが、彼が引退するとガウディはオニョスの後継者として彼らを認めた。またそのためにバディアは独立した工房を作る必要がでてきた。そこでその工房をガウディは設計することになったのだが、設計料をもらう代わりにガウディが依頼した仕事から差し引くという清算をして兄弟の新たな出発を助けている。
バディア兄弟が実現させた傑作は何といってもラ・ペドレラで使ったバルコニーの手すりをはじめとする前衛的な鉄細工類であろう。
ナポリ通りに面してあったこの工場の正面は住宅として新築されているので現存しないのだが、その裏側にどうやら工場の奥だったらしい建物というのが現存している。現在ではその一部が建築家の事務所として使われている。
所在地:Carrer d´En Grassort, 10
アクセス:地下鉄(L4)Joanic下車、10分。

建設当初の工場正面

申請用の図面

現在のナポリ通り

裏側にまだ残る工場らしき建物