バルセロナのガウディ建築案内番外編(38)

ブラーネスのサンタ・マリア教会説教台 Iglesia Parroquial de Santa Maria
所在地:Carrer Nou, 22, Blanes 
1912年
ブラーネスはバルセロナから約70Kmの海岸にある町。現在は4万人弱の人口。ガウディはラ・ペドレラの建設に没頭していた頃のことで、ちょうど、最終的には実現しなかったファサードのパラッペトに取りつく彫刻群の製作を彫刻家カルロス・マニとともに作っていた時であった。この彫刻家マニをガウディに推薦したのはカタルーニャ語を擁護した弁護士であり、文筆家のジョアキン・カサス(Joaquim Casas i Carbó, 1858〜1943年) であったのだが、このカサスがブラーネスの教会の小さな仕事をガウディに持ちこんでいる。
サンタ・マリア教会は1350年から1410年の間にゴシック・スタイルで建てられている町の一番大きな教会ではあるが、どちらかといえばマイナーな仕事ではある。
ガウディがデザインしたのは説教台で、祭壇の両側にシンメトリーに置かれ、ミサの時にはこの壇上から神父が説教するわけだが、何段かの階段があり、神父の背の部分には一見装飾かと思われるようなダンボール製の屋根がかかっている。実はこの屋根は神父の声がよく届くように、反射板の役をして、声が前にいる信者たちに届くようにするために考えられていた。
その後のスペイン戦争時の1936年6月22日に教会は焼けてしまい、ゴシック、バロックの祭壇とともにガウディの手になるパラボラの説教台は燃えてしまった。教会は終戦後にガウディの弟子の一人で、サグラダ・ファミリア教会を戦後建設継続させたルイス・ボネット・イ・ガリ(Lluís Bonet i Garí, 1893〜1993年)によって再建されているが、ファサーフォ以外は全て焼失してしまった。
所在地:Carrer Nou, 22, Blanes, Girona
アクセス:近郊電車でバルセロナのサンツ駅、カタルーニャ広場駅から1時間20分。乗り継ぎのバスが駅前から出ていて市心まで10分。ミサのあるときは入場可能(平日は9時と19時30分、祭日の前日は19時30分のみ、祭日は9時と12時)
焼失した説教台

修復されたサンタ・マリアの教会

教会内陣

現在の説教台