バルセロナのガウディ建築案内番外編(44)

ロンシャン宮 Palacio Longshamp (1869年完成)
シウタデーリャ公園にある大滝のモデルとされるマルセイユにある建物。こちらは給水路の町への入り口として作られ、中には小さな博物館が入っている。H.R.ヒッチコックの"19世紀から20世紀"の建築Henry-Russel Hitchcock, The Pelican History of Art, Architecture: Nineteenth and Twentieth Centries, 1958, Middlsexは我々の世代ではバイブルのようなものだった。この中にマルセイユの作品が写真入りで出ている。ロンシャン宮(p.202)である。作家の名前も実は聞いたことがなかった。しかし、この写真にはどう見ても見覚えがある。
ロンシャン・ブレバールの突き当たりにあるこの宮は実はガウディが学生の時、アルバイトで掛け持ちして色々な事務所でしていた頃、この中で一目を置いていたフォンセレが当時やっていたシウタデーリャ公園の大滝と酷似しているのだ。
しかし両者の立地条件は全く違っている。ロンシャン宮は坂を登りきったところにあり、シウタデーリャは平地である。ブレバールの終端にこの宮殿は立ちはだかっていて裏側に庭園がある。シウタデーリャは裏がない。
大滝この宮殿の由来は1838年7月4日の条例で決まったマルセイユの水不足解決のためにデュランス川を引き込む工事に呼応して、市にモニュメントを建設するというものであった。宮の起工式は翌年、肝心の運河建設着工間もない1839年11月15日に行われたが、完成には30年待たねばならなかった。この間、プロジェクトはプログラムが決まらず、幾つも発表されたが、最終的にはEspėrandieuの案が実現した。
所在地;マルセイユのplace Henri Dunant
サイト;http://d.hatena.ne.jp/Arquitecto/20120408/1334298056