ジローナのカテドラル/Catedral de Girona

バルセローナのカテドラルの着工後の1312年にロマネスクの寺院のうえに新たに建設が始まったジローナのカテドラルは、バルセローナのそれと内陣を似かよせているが単身廊で、34メートルというせいの高さと、スパン22.8メートルという広々とした比類なき内部空間を生み出している。南フランスからカタルーニャにかけて広がるこの形式のうちで、もっとも完成し、またもっともせい高の教会堂である。
この形式決定には、1416年の有名な12人の国内建築家の会議 の結果、5対7で三身廊という決定がされたのだが、ボフィール(Bofillまたは Boffiy)を始めとする建築家たちの唱える単身廊に、工費の節減と工期の短縮、それにより大きな内部が得られるという理由をくんで、決定された。もっともボフィールはジローナのカテドラルのマエストロであるし、ヴォールトを架けるのに失敗していた会堂を完成させる名工という名声すら得ていたのでこの決定となったともいえるが、ここで興味深いのは、ジローナ以北建築家たちがいずれも単身廊を提案していることであり、ボフィールもその設計に当たってはトゥルーズの教会に範をとっている。

オニャール川に架かる橋からジローナのカテドラルを見る。この橋はエッフェルの設計になると言われ、現在も使われている歩道橋。(1876年建設)
2006年6月24日撮影

ジローナの町の高台に建てられているカテドラルは、ルネッサンス期のカテドラルのように町のシンボルとなるような形で今もランドマークとなっている。オニャール川の川べりは70年代に今のようなカラフルな色でファサードが塗られ、一躍町の顔になって、高台にあるこのカテドラルも引き立ってきた。
2006年2月12日撮影

正面ファサードバロック期に出来たもので、装飾はバロックでされているものの全体としてはのっぺりとしたマッスを強調するようなファサードで、更にこのランドマークとしての性格を強めている。

この正面ファサードは箱となってしまいヴォールトなどの後ろにあるヴォリュームは見えなくなってしまったが、近くで人が見える部分はバロックの湾曲、彫像で飾りたてられている。この2重構造の作者は分かっていないが1606年に着工、完成したのは何と20世紀に入ってからだった。

インテリアは呆れるほどすっぱりと抜かれている。これは僧席が身廊内にないということもあるのだか、構造がシンプルでむき出しになっているから、恐ろしく無機質な空間が出来上がっている。しかもこの透明感。非常に現代空間に近い。
2000年2月23日撮影

もともとはロマネスク時代の教会堂があったのだが、そのロンバルディアスタイルの鐘塔がバットレスの役をして残されている。

2000年2月13日撮影

ジローナの町の旧市街はどこかイタリアの町を思い出すたたずまいがあります。最近は観光開発も進んで気のきいたレストランなども旧市街にできるようになりました。この町の宝物はカテドラルのの中にある宝物館に保存、展示されている11世紀、ロマネスク時代の『創造のタピストリー』です。