半島東のカタルーニャ・ゴシック

14世紀に入るとすでに退廃期をむかえるカスティージャのフランス・ゴシックに対してカタルーニャでは13世紀後半から特に14世紀全般にわたって単身廊でフライイング・バットレスをほとんど持たず、バットレスを周壁内に収めてしまうという新しいゴシックが全盛期をむかえる。
当時カタルーニャアラゴンはシシリー島、ナポリ、サルデニア島、南フランスを海外領土に持つというまさに盛期にあった。
カタルーニャの最初のゴシックは、タラゴナのカテドラル(Tarragona,1171年起工、1331年奉納)とレリダの旧カテドラル(Lérida,1203年起工、1278年完成)(図版13)で、いずれもロマネスク・プランのうえにゴシックの構造を融合させるという過渡的性格を示しているが、同時にカタルーニャ・ゴシックの特色である八角形の塔をいだいた、地中海の陽光をヴォリュームの表現に強調するという性格を示してしる。

タラゴナのカテドラル。祭壇部分から身廊を見る。

正面ファサード側から身廊を見る。

正面ファサード。これは後年完成された。
タラゴナのカテドラル近くで遊ぶ子供たち
1979年撮影