アントニ・ガウディ/Antoni Gaudí i Cornet


カサ・バトリョ屋上煙突
ところがドメニク・イ・モンタネールの建築だけでなく、モデルニスモ建築全般へ、個性的な芸術言語でもって影響を与えたのがガウディであった。彼はビィセンス邸というネオ・ムデハール様式 でデビューし、イタリアン・ルネッサンス(グエル館正面ファサード、1886〜1890年)、ネオ・ゴシック(ベジェスグアルド邸、1900〜1902年や聖家族教会、御誕生のファサード下部)、バロック(カサ・カルヴェ、1898〜1904年)といったさまざまなスタイルを自らのスタイルの中に消化させグエル公園(1900〜1914年)、カサ・バトリョ(1904〜1906年)、ラ・ペドレラ(1906〜1910年)、コロニア・グエル教会(1898〜1915年)といった成熟期のまさしく独自の建築をつくり出していったのである。

ビセンス邸
2007年10月1日撮影

喫煙室詳細

同入り口ドア

グエル別邸 ドラゴンのエントランス
2011年6月9日撮影

グエル館
1972年3月撮影

ベジェスグアルド邸
1979年3月撮影

サグラダ・ファミリア教会ご誕生のファサード
1977年11月撮影

カサ・カルベ

グエル公園メインエントランス
1972年7月撮影

カサ・バトリョ、バトリョ家サロン
2008年2月17日撮影

ラ・ペドレラ
1972年4月撮影

コロニア・グエル地下聖堂
1972年3月撮影

怪奇が幻想か
ガウディの魅力を探る
ガウディAntoni Gaudí i Cornet(1852-1926年)については限られた紙面で書くことは難しいし、また皆さんご存知だから、今さらガウディの建築やデザインについてわざわざ書くことをやめにしよう。もっと勉強したい人は僕が10年以上前に書いた「ガウディの生涯」(彰国社刊)とか、最近では鳥居徳敏氏が書かれた本などを読まれることをお勧めする。
ただ、どうしてもひとつだけアドバイスをしておきたいのは。日本でのガウディ観とうのはつくられ過ぎているということだ。これがガウディに何かを見出してやろうという思ってわざわざバルセロナまでに来ても障害になっているようだ。固定概念を植え付けたのはもちろんあのサントリーの美しすぎるCFがきっかけなのだ。それはすっかり忘れて、バルセロナでは新たな気持ちでガウディを見て、幻想か怪奇か、怪奇か幻想か、あるいはそのどちらでもない、あなた自身のガウディを見出してほしいい。ガウディを発見する。これこそバルセローナの旅の本当のおもしろさなのだ。

アドバイス
ガイドした建物などを全部見るには5,6日は必要だろう。時間がない時には市内のカサ・ミラCasa Milà、カサ・バトリョ Casa Batlló、サグラダ・ファミリア教会 Sagrada Familia, グエル公園Parc Güellを見ればいいだろう。もう少し余裕のある場合はコロニア・グエルの地下聖堂 Esplésia de la Colonia Güellが何と言っても圧巻だろう。レオン León、アストルガ Astorga、コモジャス Comillasはガウディ以外のモニュメントもあり、魅力のあるところで捨てがたい。

TOTO出版刊『我が街バルセローナ』より
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