ガウディの課外での活動

建築以外の書物では古典、シェークスピアの戯曲、スペイン黄金世紀の文学に親しんでいたといわれる。また。ロージェントの企画したモニュメントの見学会にも参加していた。この会は1876年になって学術的遊覧カタルーニャ協会Asociació Catalanista d’Excursionins Cientifiquesの名で正式に発足し、バルセロナ市内からカタルーニャの諸地方、マジョルカ島、南フランスへと遊覧を企画していくが、ガウディは卒業後も続いてそれに加わり、建築、美術、歴史的な造詣を深めていく。訪れた場所の中ではポブレ修道院も含まれていたが、興味深いのは卒業後の1883年に催された南フランスへの旅である。そこではヴィオレ・ル・ドゥックの修復中のカルカソンがスケジュールに入っていた。ガウディはヴィオレ・ル・ドゥックの著作は知っていたものの彼の仕事を見るのは初めてで、その期待は想像できるが、実際にはカルカソンに朝着いてその午後には去ってしまったのである。ガウディは失望し、その時こう言ったと伝えられる。『帰りましょう。これは我々に何も教えるものがない』彼の眼にはその修復があまりに舞台装置のように見えたのであった。あるいはここで彼のローマン主義的なゴシックへの傾倒が断ち切られたのかもしれないが、これは後に触れていきたい。
このような学生生活を送っていたガウディは一方級友の目からすれば「気違いじみて嫌みのない冗談と酒好き」な学生であったが、校外ではより実務的建築体験を重ねていたのであった。


最近はもうディズニーランドと変わらないぐらいになってしまったカルカソンですが、この写真の1973年頃はひっそりとして中々の雰囲気でしたが、ガウディの目にはディズニーランドに見えたのでしょう。