②構造的な試み

ガウディの構造に対する関心は、既にマタロの工場棟で木製のパラボラ・アーチを実現することでみられるが、グエル別邸では、馬小屋にれんがでそれが組まれ、アーチごとは简状のヴォールトで連結されている。またパラボラ・アーチ自体が装飾化され、あるいはシンボル化され、構造的意味合いを持たない部分にすら明らかに使われ始める。これはガウディによってパラボラ・アーチが後年ケーブル模型の実験で更に複合化され、完成されていくが、実際のところその起用はいつたい構造的アイディアから始まったものか、それとも別なところにあつたか、あるいはそのどちらの理由でもないのかという問題を浮かび上がらせる。マルティネイなどマタロ協同組合の工場棟アーチ使用を構造的意味合いより、工場という無装飾空間での装飾的意味合いによっての起用としているのである。そういえば,この馬小屋でもどちらかといえば、装飾を施し得るタイプの空間でもないし、アーチをデコラティ—ブな使用としたとも考えられる。パラウ・グエイのファサードのふたつのアーチにしろ、構造的必然性がないとはいえる。

馬小屋 インテリア 一番奥には餌を入れるところも修復されている

馬小屋部分 屋根の構造 これだけ見るとPCで出来ているようですね 今ならこの構造は完全にブレファブで出来ますものね

パラボラ・アーチの間に馬が繋がれることになっていた

以上1976年4月撮影