4. セルダ案

セルダの都市計画の理論はその大著『都市計画の一般論』(“Teoría General de la Urbanización” 全3巻, 1867年、現在ではセルダ・アーカイブとしてhttp://www.anycerda.org/web/es/arxiu-cerda/fitxa/Teoria-General-de-la-Urbanizacion/115で読める)に提示してある。それは大雑把に言えば「家族内における個々の独立性」、「都市内における家族の独立性」を大きな特徴としている。つまりは充分な大きさのブロック単位と、建物の棟間隔、そして都市自体の拡張性ということで、その結果、この画期的な超工業主義的な都市計画が作られた。
セルダ案によれば、3ブロックが400メートル四方、つまり1ブロック単位が133.33メートルx133.33メートルとされ、建物はそのブロック内の2面だけに建てられることになっている。このグリッドは20メートルに道路がとられ、うち両側5メートルは歩道にあてられ、ブルックの隅部は削られて全体としては8角形となり、道路の交差点は一辺20メートルの8角形を形成する。交差点には電気時計がすえられることになっている。「時は秒単位、間隔はミリ単位、時代はすべてを勘定に入れ、すべてを計算し、すべてを有効に」(セルダ)。中心を持たせない。あくまで均一性を目指したため、用途地区も市心も見当たらない(ただし、モニュメンタル、あるいはセンチメンタルな意味、また、現実的な意味でも旧市街は数本の軸を通すだけで保存し、極力分散化にも努めているようである)。工場にしろ棟間隔の充分な取り方で住産共存の公害化を防ぐよう考えられている。具体的には建物の棟間隔は道路側では20メートル。パティオ側では約70メートルの間隔がある。また都市拡張、つまりグリッドの延長に伴い起きる都市交通の問題も、馬車に替わる新しい都市交通システムの出現を予想していた。ブロックの隅部を切ったことでもそれは理解できよう。また、新システムの出現を予想していたがゆえの的確な都市計画をセルダは提案していたのである。
約百本の樹がブロック内の両側の建物の間(36本)と周囲の歩道(8メートル間隔に計56本)植えられ、それとは別に個人庭園もパティオ内につくられる。また公園内は400ブロック単位に1つの割合で作られ、別にモンジュイックの丘とベソス河流域の森林地帯をそのままに保存することで自然公園化している。階高は5階に制限されている。


セルダ案の大きな特徴であるグリッドのコーナー部分をカット

A+U 1976年11月より

続く