ベジェスグアルドの構成

さてベジエスグアルド邸は、そのガウディの個性で歴史も風景も消化されてしまっているとはいえ、もうひとつのガウディにとっていわば宿命的な様式であるイスラム様式が絡み合っている。それは玄関の吹抜けに繰り広げられる垂直空間であり、これは彫塑性に富んだ特異な空間を生んでいる。それは玄関ホールではブラスターでレンガのエッジに丸みが付けられ、午後になってバラ窓から入る強い光を柔らかく受け止めて淡い陰影を生み生している。それは主階となる二階では連続した薄いアーチによって天井が支えられているのだが、それらはこの連なりをれんがといういかにも粗末な材料を高貴なものへと変換しているのである。空問の魔術師ガウディ。
しかし屋根裏階には、彼の構造家としての才能が明確に現れている。それは30X30センチメートルの角柱に、三枚の平積みにした、れんが板が架け渡してあり、そこからスパン4メートル半ばかりのアーチが出ているのである。しかもそれぞれのアーチはれんがー個を積み上げただけであり、アーチの間隔も80センチメートル以上ある。
ガウディの弟子のうちでも、その構造的有能さで知られるルビオは、自らもれんが造の巧みな構築法を知っていたが、ベジエスグアルド邸についてこう語っている。「ベジエスグアルド邸にはいまだどうやって支持しているのか分からないところがある。」

ベジェスグアルドの外観

敷地への入り口

遺跡を手を加えている