図版2・3 — La Sagrada Familia

サグラダ・ファミリア教会、ピナクル(小尖塔)。
当初ガウディ自身,サグラダ・ファミリア(聖家族の意味味でイエス、ヨセフ、マリアを指す)教会の建築家として生涯を送ろうとは考えてもいいなかった。しかし、教会建設が贖罪の寄附だけに頼って進められていたことから、思うように建設資金が集まらなかった。また讀罪の教会であるからこそ逆に、建設はゆっくりであればあるほど宗教的な効果は高まるはずであった。いずれにしろ世紀末という"革新"、"科学"が先行するカタロニアの首都バルセロナで、まとまった大口の資金援助は得られるはずだった。また、ガウディの独自な設計プロセス自体が、建設を遅らせることになったのも事実であろう。彼の建築学的知識と、他の作品で試作実験してみた建築的冒険をこのサグラダ・フアミア教会の建設に集約している。
《塔の尖端のピナクルはベネチアン・ガラスがはめられ、キラリと輝き.バルセロ ナの街へその輝きを投げかけている。十字や文字が読みとれるが、形想はまったく具象性を失っている。》

名古屋デザイン博
「ガウディの城」展カタログ
写真解説より
1989年刊行