建設続行反対運動

しかし、この建設続行が古くからバルセロナばかりかヨーロッパ、アメリカのアーティスト、知識人たちから反対されているというのは意外と知られていない。一九六五年にオリオール・ボイーガスをはじめ建築学校の学生がオーガナイズしたのが最大の反響を得ている。このなかにはル・コルビュジェ、ミロ、タピエスなどがいた。ペヴスナーは『サインを切望する。RIBA(王立建築アカデミー)で出版するため全てのサイン名簿を送れ』、という電報を送っている。セルトは『今ヨーロッパから戻ったところだ。君に私の名前をサグラダ・ファミリア教会の学生のドキュメントに加えることを許す。』と、イタリアからは『サグラダ・ファミリアのために署名を集めた ジオ・ポンティ、ドルフレス、アルガン、ゼヴィ、ポルトゲージ、クアローニ、ロジャーズ、パーネ、ベルジョーゾ、グレゴッティ』という連名で電報が届いている。一九九〇年にもアーティストらが再度この反対運動を繰り返している。もっともこの建設への反対運動は一九一〇年ガウディが生存中にもあった。
反対宣言をしている人の理由というのは人それぞれさまざまなのだけれども、創意あふれるガウディのオリジナリティーに対して、現在建築に携わっている建築家たちのデザインはひどいものだということだ。勿論これは個人攻撃になってしまうので、建築申請を怠った不法建築だ、都市計画的な手続きもされていない、教会からの宗教施設としての建設許可も受けていないとか、別な言い方をしているのだが実ははっきり言えばそういうことになる。つまり、ロマンはロマンとしても建築やアートはそんなものではないということだ。