ゴールドラッシュ

産業革命後のゴールド・ラッシュ(一八七八〜八十二年)は、中央マドリードから圧迫され続けてきたこのカタルーニャ分離主義を再燃するに充分な経済的発言力をもたらした。それに平行した政治的勝利は、この史的願望の独立意識をリアリティーのあるものへと確実に一歩近づけていった。
こういった状況が、ヨーロッパの額廃的なムードとは明らかに一線を画した性格の容貌をバルセナの世紀末芸術に投影したのは至極当然な成り行きであろう。 国内でいうならば、中央政府マドリッド=カスティーリャが対北米戦争に破れ、帝国最後の植民地を失い「九十八年代の世代」を悲観的に生み出したのに対し、経済的な繁栄に裏づけられ、文化的な民族意識の再興に目が向けられたカタルーニャでは、このモデルニスモを楽観的に生み出すことになったのである。