セルダ案とその建築のタイポロジー

現在のエイシャンプレ地区はブロックの四辺に建物はつくられ、中庭はパーキングの屋根で塞がれたりしているのでセルダが構想した容積の四.四倍 を超え、田園都市というわけにはいかなくなってしまう。
このエイシャンプレに建てられた建築には四つのエポックがみられる。
第一期は二〜三層の独立個人住宅、あるいは五〜六層の集合住宅の混在で、ほとんどは建築家の手にならないマエストロ・デ・オブラ の設計になるのがその特徴である。 第二期はモデルニスモの建築、第三期はノウセティスモの建築 、第四期は五十年代以降から現在にいたる建築である。
セルダが構想したエイシャンプレ計画によれば、建物の階高制限は三階とされたため、計画進行当初のパオ・デ・グラシアにはこのタイプの独立個人住宅が建ち並んだ。
また、中産階級用の建物としては、五〜六層の境界壁(メディアネーラ)を共有したタイプが建てられている。 主階は二階に置かれプランタ・ノブレと呼ばれて、建物の持ち主が住む。 そのために街路から直接アタセスがとれる階段が独立しだエントラソス・ホールからとられている。 三階以上は賃貸の住宅で共用の階段がこれとは別に設けられている。 また一階は一般に家主自身の経営する商店、あるいは事務所に当てられ、鋳鉄製の細い円柱がカタルーニャ・ヴォールトのスラブを支えている。 こうすることでプランに最大のフレシキビリティーを許しているのである。 ガウディの都市住宅もむろんすべてこの形式のタイポロジーをとっている。


Emilio Bordoy 「Ildefonso Cerdà, el hombre y su obra」, Barcelona, 1959年

Salvador Tarragó i Cid, 「Las nuevas tipologías en la construcción de 1ª Barcelelona de Cerdà o un Catálogo de Arguitcctura de la ciudad industrial (1855年1888年)」, Cuadernos de Arguitectura, Barcelona, No. 101, p.3

Maestro de Obraはほとんど建設業を兼ねた建設技術者で、公共施設の設計には携われないほどの制限があったが職人的な才に恵まれた多くの人材を残した。詳しくはJoan Bassegeoda Nonell, 「Los Maestros de Obra」, Barcelona, 1973年を参照。