パラウ・グエルPalau Güell

所在地:Nou de la Rambla, 3-5

作品解説
一八八六〜八十八年建設。 ガウディの生涯のパトロンであったエウセビ・グエルの居館として建てられたこの建物は、ファサードルネッサンス、内部はネオ・アラブ装飾というようにみえがかりの部分では歴史的なスタイルを踏襲しながらも、その内部空間の構成は全く新しい試みをしている。 一八八六年六月三十日のサインのある市役所に提出した図面が残されているが、それ以前にかなりの作業をしたことが考えられている。グエルはガウディの才能を認めて、義理の父にコミージャスのチャペル用家具のデザイン(一八七八年だが実際の制作はその数年後と考えられている)を依頼することを進め、さらに自分ではやっとフィンカ・グエル(一八八四年)の門扉など、大したプロジェクトを依頼していないが、それはひょっとするとグエルはこの間ガウディの才能をテストしていたとも考えられる。グエルは一八七八年の五月にオープンしたパリ万博のスペイン館で見た手袋商コメージャスのショーケースを見て以来ガウディの才能を見込んだとされているが、もし、これが本当だとすればそれから更に足掛け十年、グエルはその見込んだアーティストの才能を更に見定めるためのテストを続けていたことになる。ガウディはこの時若干三十四歳であった。
ファサードにはガウディにはお馴染みの二つのパラボラ・アーチが入り口を飾り、その間にドラゴンをモチーフにした鉄細工が取り付けられている。一階は馬車を入れるためのガレージなどとなっていて、これは音を響かせないために、床には木製のピンコロ石を使っている。二階はトリビューンがファサード巾に作られている。この階のサロンがその圧巻で、星がちりばめられたキューポラのある吹き抜けのスベースを中心にして広がる空間の流れのおもしろさ、また屋上には十八の煙突がつくる表情、そして地下にある馬小屋の円柱群のスペースなど、後年をほうふつさせる独創性の高い建築へと大きく一歩踏み出す冒険を、控えめながら、しかし確実な足取りで進めている。
現在はバルセロナ県庁の所有となっており、一九八三年から大規模な修復が行われた。うちでも屋上階の煙突の表面仕上げとして使われたトリンカディスは現代作家に依頼して新しい作品として仕上げてられている。これが一部では問題になっているが、担当した修復建築家アントニ・ゴンサーレスの左遷後、インテリアも含め再オープンしている。
アクセス:地下鉄(L3)Liceu下車。歩いて数分。

入場:夏季(4月1日〜9月30日)10時から8時まで
冬季(10月1日〜3月31日)10時〜17:30分
月曜休館12月25,26日
http://www.palauguell.cat/index_es.html

正面ファサード

エントランス

地階馬小屋

グエル寝室柱頭飾り

屋上の煙突