2012.08.07 Sigüenza

シグエンサへ行こうという事を前から考えていたのだけれども、なかなかチャンスがなかった。そのひとつはバルセロナマドリッドも結ぶ幹線道はN1つまり国道1号線、今では高速A2ができて昔のことのような渋滞もないし非常に快適な移動ができるようになったものの、鉄道で行こうとなると新幹線AVEは止まらなくて、普通列車で行くとバルセロナから7時間以上かかってしまう。そこで結局はZaragozaまでAVEで2時間弱で行ってそこからレンタカーでシグエンサに向かうことにした、そうなると4時間弱で行ける。
シグエンサは城があって、そこが現在ではパラドールになっている。そこに宿をとって、シグエンサと周辺を見て歩いた。この町に来たのは1971年、マドリッドから電車でブラブラ、バルセロナへ行く途中に下車したのだった。当時はキロメトリコという割引切符があって、これは5千キロとかいう単位で買うと手帳のようなものをくれて、改札で行き先を言うとそれに見合ったキロを差し引いていくというものだ。これを使って、グアダラハーラ、シグエンサ、レリダ、タラゴナというような町を見るために途中下車した。シグエンサはルネッサンスの名建築家の一人コバルビアスがカテドラルに大作を残している。
カテドラルはどこのスペイン中のカテドラルも同じようなものだが、ロマネスク以前の起源であるが、その後ゴシック時に大改装、ルネッサンス期に増築をしている。その後も工事がされたが、スペイン戦争でかなりの打撃を受けその修復という形で、若干交差廊部分のネフの外壁を嵩上げすることで、この部分に陽が入るようにされた。しかし、鐘塔の小さな開口にはこの時の激しい銃撃戦の生々しい傷が補修もされず残されている。スペイン戦争がまだ日常生活の中に生きているのだ。
今回の旅行の目的のひとつであるコバルビアスの手を加えたところというのは、周歩廊をゴシックのプランの祭壇の裏側に付け加えた部分である。周歩廊というのは、祭壇の裏側に通路をぐるりと半周させ、その外側にいくつものチャペルを取り付けることで、色々な聖人を祀ったチャペルを短時間でお参りできる、言ってみれば巡礼をひとつの教会のかなでできるようになっている。実際にはそれぞれの信者によって決めている聖人があり、そこに行くとか、記念日にはその聖人のチャペルで特別なミサがあるということで、巡礼するというのは無信教者が考える的外れな解釈であるのだろう。
圧巻は聖器室だろう。天井の筒状のヴォールトに3千にも及ぶ顔が彫り込まれているのだ。

右がパラドールに現在なっている城 左がカテドラル

カテドラル正面

正面部分

カテドラル側面

戦後の修復でかさあげされた交差廊部分

鐘塔などには今も弾痕が残っている

交差廊部のコバルビアス作の祭壇

交差廊

交差廊部分を見上げる

コバルビアスが増築した周歩廊

周歩廊左手にある聖器室入り口

聖器室


さりげなくエル・グレコが置かれている カテドラルとは直接関係なく寄付した人がいるらしい


回廊

コバルビアスについては
http://d.hatena.ne.jp/Arquitecto/20120706/1341549716