ジョアン・ベルトラン

Joan Bertrán
石膏職人。
知られている限りではベルトランとガウディの繋がりはカサ・カルベのプロジェクトからだった。ガウディはこのプロジェクトを1898年3月29日にサインしている。このプロジェクトのドラフトマンはベレンゲールが中心となってまだ学生だったルビオ*、フリオ・バトジェベル・アルス(Julio Batllevel Arús, 1864〜1928年)が担当した。プロジェクトはサグラダ・ファミリアの工房内で製作され、この図面の他10分の1の模型が制作された。この石膏の模型制作者がベルトランであった。
その後はコロニア・グエルのコンプレックス極まる模型制作にも参加している。これは石膏模型ではないのだが、エンジニア・エドゥアルド・ゴエトウ・マウレル(Eduard Goetz Maurer)、構造専門家フェリックス・カルデジャックFélix Cardellach Alivés(1875〜1919年)などの指示、そしてガウディのデザインが模型に正確に反映されているかどうかをチェックするという重要な役割を与えられていた。
カサ・バトリョでは昆虫の頭のような形のバルコニーをガウディはデザインしているが、これもベルトランの手によって石膏で模型が作られた。
現場に入ってラ・ペドレラの地下に置かれた、図面よりもはるかに情報量のあった10分の石膏模型もバルトランの手になっている。
ガウディは常に模型制作によって設計を進め、さらに現場でも原寸模型もたくさん作っている。サグラダ・ファミリアの御誕生のファサードの門のコーニス部分を原寸で作らせ、これを設置して眺め最終的に石に置き換えるという事をしていた。石膏職人ベルトランはガウディにとって最高のアシスタントの一人であったろう。

サグラダ・ファミリアの工房 左下に転がっているのが出来たばかりのベルトランの手になったカサ・バトリョのバルコニーの手摺石膏原寸模型