バルセロナのガウディ建築案内番外編⑱

ジョアン・グエルのモニュメント Monumento a Joan Güell

ジョアン・グエル・イ・フエレールJoan Güell i Ferrer (1800−72年)はカタルーニャの実業家であり、何よりもガウディのパトロン、エウセビ・グエルの父である。南カタルーニャの小さな町トーレデンバーラ(Torredembarra)で生まれ。9歳の時、時代の波に乗って父の移民先のサント・ドミンゴに渡る。帰国後は新天地の無限の可能性に啓発され、学業を終えると、バルセロナで商船操縦の資格を得る。この年(1818年)すぐさま政治的により安定しているキューバへ渡る。ここで将来の親戚関係を結ぶアントニオ・ロペスと親交を結んだのだろう。1834年莫大な富を得ると帰国。バルセロナに居を構え、1840年繊維工場『エル・バポール(El Vapor)』を作ると同時に企業の株主となって更に財をなしている。事業だけではなく1849年カタルーニャ工業協会(Instituto Industrial de Catalunya)設立、1869年には国内生産推進会(Fomento de la Producció Nacional) を設立し、政治家としては自由連盟党として国会議員を1857年から58年まで務めている。この功績を讃え市役所はモニュメントをグラン・ビアに建てている。
現在のものは戦後の再建で、もともとはグエルの像はブロンズであった。この制作者が、ガウディが学生時代に参加していたシウタデーリャ公園の大滝の彫刻群の作者であるノバス(Rossend Nobas i Ballbé, 1838-91年)であった。そしてこのデザイナーはマルトレイであった。

所在地:Gran Via とRambla Catalunyaの交差する場所
アクセス:地下鉄L1Catalunya下車、10分、L3Passeig de Gràcia下車1 分