バルセロナのガウディ建築案内番外編(22)

ロベルト博士のモニュメント 
Monumento al Dr. Robert
1904年、ガウディの友人である彫刻家リモーナは「ロベルト博士のモニュメント」の製作を始める。通称ロベルト博士(Bartomeu Robert y Yarzábal, 1842-1902年)は内科の医者であったが、政治家として名を残している。1899年バルセロナ市長になると中央政府の商工業への課税に反対して、市民から評価され人気を高めた。その後1901年には地方主義同盟(Lliga Regionalista)という政党の代表として国会議員としてマドリッドに出てカタルーニャを擁護している。
このモニュメントのベースとなる建築部分はドメネク・イ・モンタネールがデザインしたとアーカイブに記録があるが、作風はいかにもガウディに近いことから本当の作家が誰なのか常に取り沙汰されている。巨大なマッスの彫刻のベースは切り石積みでオーガニックな表情に作られ、石はカサ・ミラと同じ種類の石であるばかりか、荒い叩き出し仕上げとなっていて、これもカサ・ミラと同じである。さらに彫刻部分も最上部のロベルト博士の胸像の下はブロンズの博士の功績のアレゴリーを表す彫刻があるが、この中には旗があり、旗の先端にこれまたガウディがよく使ったダブル十字が使われているのだ。そして、柱頭飾りがアブストラクトなカサ・ミラのそれと極めて似ている。ドメネクとは信じがたい作風で、もし本当にドメネクの作ならば、ガウディの影響を受けた機能合理主義を先取りしたドメネクのユニークな作品という事になる。逆にもしこれがガウディのものであるとするならば、カサ・ミラの習作というわけだ。
また、このモニュメントはもともと大学広場に設置されたが、その後1940年に地下鉄の駅建設を理由に撤去され、現在ではテトゥアン広場(Plaça Tetuán)に動かされている。(完成は1910年)
所在地:Plaça Tetuán
アクセス:地下鉄L2 Tetuán下車