ライオンのパティオ/Patio de los Leones


2000年3月撮影

1977年6月撮影

1971年7月撮影
結果的には、アルハンブラ宮は西世界の最古の、そして無二の非宗教建築となるのだが、それを完成させ得たのは、キリスト教徒の手中に落ちたコルドバから逃げ出した建築家や芸術家たちの空間構成の手腕、セビィージャの装飾テクニックの成果による。シンメトリックでモデュール化された、光と影を思いのままに使いこなしたコルドバのモスクの連続無限空間は、ライオンのパティオで極に達している。2本、3本組、あるいは単立の円柱は、パティオの中空からの光を内部へ微妙に透かしてみせ、林立する樹々のようなヴィジュアルなアクションは、腰を下ろした時、あるいは大理石の床を通してみた時に、最良と計算され、このハーレムをパラダイスとしている。
パティオの四方から引かれた、アブストラクトでシンボリカルな水は、中央のアッシリアから運ばれた12頭のライオン像が形づくる噴水に集められ、床レベルから1メートルほど下がっていたパティオには四季の草花が床まで生い繁り、建物全体があたかも大自然の中に浮き漂よっているかのような効果を生み出している。