トレド/Toledo

サンティヤゴ・デル・アラバル(Santiago del Arrabal,13世紀前半、または14世紀)は三身廊で内陣に3つの円形礼拝堂を持つ典型的なロマネスク平面を持っているが、その内陣外部、格子天井、鐘塔の馬蹄型アーチという回教建築的要素、なによりものこと外観のヴォリュームの扱いがトレード風で、長い間回教建築とすら考えられてきた。
またこの街にはシナゴガがふたつ現存する。ユダヤ教は独自の様式を持つに至らなかったが、やはりキリスト様式より、ムデハリズムへと傾倒し、サンタ・マリア・ラ・ブランカ(Santa María la Blanca,12世紀末建立、1405年以降キリスト教教会に転用、5身廊)、トランシト教会(Ntra.Sra.del Tránsito,14世紀後半、24.77X9.54メートルの単室)を生んでいる。
その他トレードにはクリスト・デ・ラ・ベーガ(Cristo de la Vega)、サン・トメ(S. Tomé)、サン・ロマン(S. Román)教会など、数限りないモニュメントがあり、12世紀建設開始の、プラン的にはスペイン・ゴシックの典型とされるあのカテドラルですら、16世紀にはムデハリズムの礼拝堂を増築している。これがトレードである。
89ページ

タホ河に要塞化されたトレドの町


トレドのサンティアゴ・デル・アラバル教会