サンティアゴのカテドラル/Catedral de Santiago de Compostela

コインブラの旧カテドラルは、サンティヤゴの建築家と石工が建設しているため、きわめて似かよったプランを生んでいるが、コインブラレコンキスタは1064年に成っており、ポルトガル王国成立の1143年以前 に建設が開始されているため外貌は城塞を思わせる 。
これらがいずれも中央的な影響なのに対して、地方的な影響のもとに建てられていったのがサモーラのカテドラル(Zamora,1151〜1174年)(図版14)、セゴビアのカテドラル(Segovia,1228年奉納、ただし現存のものはゴシックによる再建)などであり、小さなものではブルゴス、バレンシアセゴビア、サモーラ県に散在している。
ガリシア地方には良質な花崗岩が多く産出され、サンティヤゴの街自体も、舗装床から壁まで花崗岩でつくられているが、これを利用してつくられたのが、サンティヤゴのカテドラルの現在の内玄関となっているグロリアの門を飾った彫刻である。といっても当時の教会に付随する彫刻や絵画は必ずしも装飾的な意味はない。つまり教会は神の家であり、その深遠で明確な宗教的意義を内・外空間に明示するために不可欠なものであったのである。
グロリアの門の作者はマテオ(Mateo)という以外はほとんどわかっていないが 、12世紀後半につくられた増築である。門は身廊に幅を同じくして、3つに開けられ、半円アーチで終え、ティンパーノから、それを支える円柱全面にそれはほどこされている。このうち両側よりも幅広の中央アーチは円柱で2分するという特異な手法が用いられ 、半島の西部にはほとんどの影響を与えている。確かにロマネスク彫刻の比類なき逸品である。

サンティアゴのカテドラル正面。現在のファサードバロック時代のもので、中にロマネスクの旧ファサードが残されている。

ロマネスク時代のサンティアゴのカテドラルのファサード。グロリアの門。
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