病院計画落第、追試の噴水計画で特優

設計講座の課題で"桟橋"と"県庁舎内のパティオが出されたときにはともに鉄骨を構造材として使っているし、オーナメントもゴシック的である。丁度このころ、ロージェントの"建築史"の講座を受けているのでこの影響を受けているのだろうが、ヴィオレ・ル・ドゥックの影がこのふたつのプロジェクトに見られるだろう。
また、前掲の日記の中に出てくる病院の課題には気が乗らなかったようで、提出の前日までファサードが決まらず、校則を犯して家に持ち帰り、これを一晩で仕上げた。教授陣はこの戒めに落第点を付けた。落第すると、翌年度の9月に再試験となるわけだが、この年は最終年であり、この再試験と卒業課題の重複を理由に教授陣とかけ合い、結局特別課題を再試験の代わりに提出することにしてもらった。
それがバルセロナ新都心カタルーニャ広場のもモニュメンタルな噴水計画である。円形平面で、放物線を描くの水がデザイン・エレメントとして組み込まれたもので、2段の基壇部分にはアーチが連置され彫像が飾っている。その細緻な描写力が見事で、これが卒業設計の課題"大学講堂"でも十分発揮されている。こちらは一種のパンテオンで、ヴォールトの中央が開けられていて、トップライトとなり、その内側にはパルテノン神殿を背景に"勝者の疾走"が描かれている。まさにその勝者が彼自身であるかのようである。この卒業設計の審査は1878年1月4日に行われたが、その審査委員長であるエリアス・ロージェントは同僚に『キチガイか天才が合格したと』語ったという。

県庁のパティオ計画 3年生課題(1875-1876) 1876年10月審査 特優


桟橋計画 3年生課題(1875-1876)1877年6月30日審査 優