3/7 サグラダ・ファミリア教会建築家


発起人のボカベージャ

サグラダ・ファミリアミュージアムに飾られているボカベージャの肖像画

「この贖罪教会の最初の礎石を置く。この教会は聖家族の大いなる名誉と光栄のためであり、弛緩せる気力をそのなまぬるさから目覚めさせ、信仰を高揚させ、勇気と助力を仁愛に与え、国を憐れむ神に捧げる。」
こうして1882年3月19日,サン・ジョセップ(聖ヨセフ)の日に、当時バルセロナ郊外であったサン・マルティン・デ・プロベンサルスSant Martìn de Provençalsに家族教会の最初の礎石が据えられた。
発起人である、ジョセップ・マリア・ボカベージャはバルセロナで書籍業を営む宗教人である。ボカベージャは1866年"サン・ホセ崇拝者精神協会Asociación Espiritual de Devotos de San Joséを設立し、"サン・ホセ崇拝の布教者"El Propagador de San Joséという小冊子を出版した人である。ボカべージャの聖家族に捧げる教会建設の動機は1874年ごろ、贖罪で集まった15000ペセタでつくった銀製の"聖家族エジブ卜への道"をあらわした彫刻をローマへ奉納するための旅に出た帰りロレ—トを通り、その教会に心を動かされバルセロナにも同じものを、聖家族に捧げるために建設しようと决意することに始まる。パルセロナに戻ってからボカベージャはよき理解者である伯爵夫人に意を語り、市心にある夫人の地所を寄付してもらうよう求めるのであるが、手続きがすむ前に夫人は世を去ってしまう。この不運にも負けずボカベージャは「これでいいのですよ、もし私たちの交渉がすぐに大成功をしょうものなら、教会は私たちの成した業となってしまいます。しかし神意は今私たちに神御自身の業、つまり神の業とならんことを暗示したのです。続行しましよう。前にも増しての信念をもって、神の家をつくりましよう。どこにもある教会ではなくて、ひとつの偉大なる寺院を……」と言うのであった。


ロレートの教会

La Piazza della Madonnaにあるこの教会は1468に着工。17世紀頃に完成している。またその後鐘塔はヴァンヴォテッリによろ1755年完成。本体では八角形のキューポラをジュリアーノ・ダ・サンガッロ1498〜1500に、ファサードはブラマンテが参加しているもののその後のジョバンニ・ボッカリーニの改装に隠れてしまう。身廊部分はブラマンテのデザインでサノソヴィーノがこれを実現している。その他内装にも多々のアーティストが参画。これをボカベージャは知っていたことになる。つまり、長い時間をかけ英知、美の終結が彼の理想とする教会だったのだ。