バルセロナの知られざる都市計画家

イルデフォンソ・セルダ


ガウディが死んで今年でちょうど50年である。この50年、出版物だけでも200に近い数がガウディについて出された。それは少なくとも何らかのガウディの生涯なり、彼の建築空間、あるいは芸術論を知る上で貢献したことであろう。ところが今年はバルセロナの都市計画家イルデフォンソ・セルダ(Ildefonso Cerdà)の没年から100年を数えるのである。
しかし、このセルダについては残念ながらほとんど無名であるばかりか、スペイン国内においてすら彼について書かれたものを見つけるのが困難と言える。これは必ずしもセルダの都市計画案の失敗とか劣等性を物語るものではなく、「世に起こり得るべく事」なのである。それは一重に情報の不足と研究者の少ないことによるものなのであろう。
ガウディにしても、ちょうど生誕百年を記念して「ガウディ友の会」というのができ、世界的な展覧会が巡回されたりしたことで、世界的に研究熱が点火されたのであり、それ以前は、一部の熱心な研究家はあったにしろ、やはりヨーロッパの片田舎の幻想の建築家以上の評価もされていなかったのである。
ところが、今回スペインの道路・運河・港湾技術士会の主催で「セルダ展」が開かれることになった。ガウディとセルダを同一視できないにしろ、セルダについてはいかにも情報が少ないために、この展覧会を通じてセルダについて書き加えておきたい。(というのはセルダとその都市計画案について「バルセロナに関するノート⑩」本誌1975年2月号で触れたからである)。
(2010年にセルダ案可決150周年でセルダ・イアーが開催されその時に立ち上げられたWebhttp://www.anycerda.org/web/がある)

A+U 1976年11月より
続く