ミラージェス邸門と塀


完成当初の門

ひとつは出版業者ミラージャスMiralles氏の別荘の塀および門である。別荘および庭はガウディの若き協力者であるスグラーニェスによって設計されたが、これも未完のままに終わっている。スグラーニェス設計の主屋の方はバレンシア地方の民家"バラッカ“をモデルとしたもので、屋根勾配の強い、シンブルなものであるが、ガウディの方は気まぐれな3次元曲線を描き、いわゆるモデルニスモ接近の作である。しかしながらこの小作品にもガウディの試みがいくつか秘められている。ひとつは塀の石積みで曲線を使い、「自然には絶対に直線はあり得ない」という自然主義らしさを示している。また石精みは下ぶくれが付けてあり、あるいは菱形に積み上げで建材を節約する」という技術的提案をしている。だが門や塀の自然主義的曲線とは対照的に、機械主義的な大きな庇が張り出しているが、この庇は門の前後へと延ばされ、ねじられた平鉄で固定されている。しかし最も興味深いのは一点固定のほぼ四角な瓦で、これはセメント瓦なのだが、中にメタルメッシュが入れられてあるのだ。


以上1974年5月撮影


以上1980年5月撮影


2002年1月12日撮影

サグラダ・ファミリアに今も保存されている瓦のモデル