3次元

ガウディは弟子たちに常々こう言っている。『人間の知性は二次元である図面の上でのみ働きうるのです。それはひとつの未知数を持つ、一次方程式を解析するのです。ところが天真の知性は三次元なので、直接空間に働きかけます。人間はそこまで不可能です。でき上がったもの、つまり現物を見るまではね。』つまりガウディこそはっきりと人間の能力の限界を見定めていながら、それを超越しようと試みた建築家なのである。ヘンリー・ムアーの作品やメンデルゾーンのアインシュタイン塔の先駆的な形態にガウディのメリットを見定めるとか、アール・ヌーヴォーのあるいは表現主義派に位置する有力な建築家,またはデザィとしてのガウディの手腕を評価するというのは、実はガウディの功績のうちのほんのひとつのことでしかないのであり、より重要なのはガウディは人間理性の改新の功績者であるということではないだろうか。
またこの方法によってのみ、ガウディの統一性のある有機的な空間が生まれるのであろうが、同時にこれを後方からバック・アップした協同者の努力を見逃すことはできない。

図面には描きえない三次曲線で作られたファサード