図版9 La Sagrada Familia

サグラダ・ファミリア教会、御涎生の門内部。あくまで奔放に見えながら、ガウディの建築は実は、構造的な裏付けはもちろん、表皮を剝がしてみると驚くほどに機能的、合理的に解析されていることがわかる。御誕生の門ファサードの裏側は、正面が複雑に様々なエレメントが入り乱れて完成されているのとは打って変わって、シンプルで幾何学的に統一されたデザインでまとめられている。ガウディの生前ですら、この内側のデザインは弟子ベレンゲール(Francesc Berenguer, 1866〜1914年)によると噂されていた。
《観光客の落としていく入場料収入というのも多いが、建設続行資金の大半は、信者の寄附に頼っているので、現在でも讀罪の教会であるには違いない。観光客には内陣と御誕生の門の鐘塔、そして小ミュージアムへの見学が許されている。》

名古屋デザイン博
「ガウディの城」展カタログ
写真解説より
1989年刊行


後記
現在では観光客があふれて、入場者は入場券を買うのに長蛇の列ができ、ネットで予約販売まで受け付けるしまつ。見学は内陣、地下にあるミュージアム、身廊の建設に従い移動された学校などが見学できるが、これ以上はもう入場できないほど。ミュージアムショップは、どちらかといえばデパートのお土産売り場になっていると思うのは私だけだろうか。

押しかける観光客