パリでの評価

ところでその反響は意外と大きなものであったことが、次の出版物の記事から察することができる。スペインの"建築と建造物"誌は「建築界の伝統はアカデミックで冷酷である。それが生気に満ちた力強い一時代に、スペイン個性の最も強烈な代表を目前にしたのである。」また当のフランス鶴ではマリュース=アリ=ロブロンドは"芸術と芸術家"誌で最も印象を強く受けたサグラダ・ファミリア教会について「版図を拡大した真のカトリシズムのシンボルは地中海がカトリックの偉大なる湖であることを物語っている。ガウディの建築はその乱暴な手で生命を絶やすことを欲したプロテスタントの到来まで調和のとれた進展をしていたように、そのまま真のカトリシズムへと近づいている。宗教革命によってクリスティア二ズムは口ーマに至つても損なわれたが、ガウディは中世からルネサンスに至るまでの発展のごとく、カトリシズムの伝統を維承、発展させている。パガニズムにまっとうされたカトリシズムは彼の高潔さによって消化され衛護され、彼の謙虚さに豊かにされたのである。それはプロテスタントの希求した、しかも実現できなかったばかりか、貧弱化した謙虚さとは対照的である。メディチ家の汎神論的カトリシズムは、神格化した所業としての自然への祟拝である。」またアンリ・ビイドンは“芸術公報”誌でガウディのアラブ」とゴシックにおいての先行性、その曲線の自由な創造性を述べ、時代における線と形態のユニークな創造者と賞している。トニカ・モシイジョンは"芸術世界誌"で「我々は異状なものを発見した。誘惑者であるが穏健でもないスペインのガウディのタレントを。真にオリジナルで彼は曲線をもてあそび、彼は光の効果のもとに建築を見ている。」また"芸術ニュース"誌ではカタロニア建築の刷新者としてガウディをためらいなく評している。
またガウディの代理として展覧会に行ったジェロニ・マルトレイは当地からカタロニアへ次のように報告している。「マエストロ ・ガウディは我々(バルセロナの人々)と同じように熱狂的、情熱的な観客に出会った。しかし同時に、批判者、激烈な敵もなくはない。その作品の前では熱つぼい議論が繰り広げられ、ときには暴力ざたを引き起こすという不手ぎわを心配せねばならないほどであった。」
残念ながら今のところこの展覧会がどういう形でパリの、あるいはそこに集まる建築家や芸術家に直接的な影響を与えたかが実証されてはいないが、国内的にはブーチ・イ・カダファルクのフランス語による自らの作品集の出版を例外として、モデルニスモ期当時の建築家がなしえた対外的な唯一 のデモンストレーションであつたのである。