図版26, 27, 28, 29, 30 Casa Batlló

図版26, 27 Casa Batlló
カサ・バトリヨ、主階サロン部分。
ル・コルビュジェは、ガウディの作品を見て「プラスティシティ一(可塑性)の極致に達している」と評しているが、それは、彼がデザイン・プロセスの段階で定規を使うのではなく石膏や粘上を使ってデザインしていたからであった。ガウディは鋳鉄のバルコニーや段鉄の鉄細工をデザインするにも、石膏や粘土で模型を作り、それを職人に見せてこれのコピーを作らせた。それ故、ガウディの建築やデザインは、すべて3次元的に設計されていて、どの方向から見ても型ができている。
《パセッジ・デ・グラシア通りを見下ろす窓は上げ下げ窓。全部を上げ切ってしまうと建具枠が残らず、サロンはバルコ二一に変貌してしまう。上部のステント・グラスは、スベインではすでに材料すら手に入らなくなつてしまった。》

図版28〜30 Casa Batlló
カサ・バトリヨ、パティオ內部。
ガウディの建築空間の面白さは、思いがけない、ところから光が射し込んできたり、空間のつながりや流れが、従来の歴史様式や空間概念の定義から明確離脱し、セザール・マルティネイのいうように「ガウディ二ズム」とでも定義できるような、ひとつのイズムの空間概念を持っているところにある。カサ・バトリョは既存の建物の補修工事という大きな制約にもかかわらず、それを見事にやって
のけている。
《エントランスの右手奥には上階へと登る階段,その奥には光り採り用のパティオが天空へと拔けている。》




名古屋デザイン博

「ガウディの城」展カタログ

写真解説より

1989年刊行

後記