図版125〜132 プーチ・イ・カダファルク

図版125〜128 Els 4 Gats (Casa Martí)
4匹の猎(カサ,マルティ)。
ジョセップ・プーチ・イ・カダファルク作、1895〜96年。
プーチは1917年まで多彩な建築活動を、バルセロナ市内はもちろん、マタロの資産家たちの避暑地であったアルジェントーナやガリーガ、ビラドラウといった、いわば当時の流行の土地で繰り広げた。そればかりか、カタルーニャ・ロマネスク建築を通じて、カタルーニァ建築・芸術のアイデンティティーを主張した全3巻の大著『カタルーニャ・ロマネスク建築』(L`arquitectura Romànica a Catanunya, 1909〜18年)をはじめとする著作研究活動、そしてカタル一ニァの地方主義全盛期の政治家としても活躍。マンコム二タート党の党首を4期務めてもいる。
《カサス(Ramón Casas I Carbó, 1866〜1932年)とルシニョール、ウトリジョ(Miquel Utrillo i Morlius, 1862〜1934年-)、ペラ・ロメゥ(Pere Romeu、 ?〜1909年)が始めたビア・ホール兼バー「 4匹の猫」(Els Quatre Gats)は、1897年から1903年にかけて、カタルーニア前衛アーチストたちのたまり場となっていた。設立者たちの他にノネイ(Isidre Nonell i Monturiol、1873〜1911年)、ピカソ(Pablo Ruiz Picasso、1881〜1973年)、ミル(Joaquim Mir i Trinxet, 1873〜1940年)、力ナルス(Ricardo Canals、1877〜1931年)、ガルガ一ジョ(Pau Gargallo i Catalán、1881〜1934年)といつた若手のアーチストたちが集まっていた。劇場部分がレストラン、ビアホール部分がバーとして、現在も営業されている。》

図版129〜132  Casa de les Punxes
カサ・デ・レス・プンチェス。
ジョセップ・プーチ・イ・カダファルク作、1905〜05年。
プーチ・イ・カダファルクの作品はふつう3期に分類される。その第1期はバラ色の時代と呼ばれ、ゲルマン的な造型のインスピレーションのもとにカタル ー二ァの民家の形式を採り人れたもので、例えばこのレス・プンチェスと通称呼ばれているカサ・テラ一ダス(Les Punxes/Csas Terrades)、前掲のカサ・アマトリエ、カサ・マルティ、カサ・マカーヤ(Casa Macaya, 1901年)等が含まれる。
《テラーダス家の未亡人アンジェラ・ブルタウと、その3人の息子のために造られたカサ・デ・レス・プンチェスは、プーチが設計した最大の作品で、一見するとひとつの建物のようだが、プランを見ると明解に3つの建物に分かれていることがわかる。プーチ自信の作品解説によると「我々の伝統芸術をベースとし、新しい素材の美しさで飾りつけ、今日の必要性である合理的なスピリットによったモダーン・アート」(L` Oeuvre de Puig I Cadafalch. Architecte, 1896〜1904年、Barcelona、
1904年より)というのがこのカサ・デ・レス・プンチェスであり、シリシの評を借りるならば「ガウディが表現の建築家であるとすれば、プーチ・イ・力ダファルクは意義の建築家であった」としているが彼ほど現実的な要求に対応した建築表現を探し求めた建築築家は、モデルニスモ期にはなかった。それがよくわかるのがこの作品である。》

「ガウディの城」展カタログ

写真解説より

1989年刊行

レス・プンチェス
後記


現在ファサードの修復中
2012年3月16日撮影