図版133〜136  Bodega de Garraf

ホデーガ・デ・ガラーフ。
ベレンゲール+ガウディ作、制作年不詳。
巨匠に謎はつきもの。ガウディの直弟子でガウティ没後,最初にバイオグラフィーを出したラフオイスですら、ボデーガ・デ・ガラーフをベレンゲ一ルの作であるとした。確かにへレンゲール(Francesc Berenguer I Mestres, 1866〜1914年)は、その死をガウディをして「片腕にんってしまった」と嘆かせほど、ガウディにとってデザイン上、最も身近な人間であった。しかし多くのガウディの協同製作者たちがそうであるように、ベレンゲール自身の作品にはこれといった秀作がない。それはたたぶん、ガウディが直接デザインに参加したことの証だろう。しかもガウディのサインの入ったサイト・プランが見つかっている。
《ガラーフはバルセロナから25㎞。モデルニスモ期にサンティヤゴ・ルシニョール(画家Santiago Rusiñol)のほぼ個入的な努力でアートのフォーカストとして盛り上げられた漁村シッチェスの町の手前にある。グエルはここでワイン製造やセメント工場、大理石の切り出し等をしているが、1882年頃に狩猟小屋をガウディに依頼している。3角形断面のこのユニークな建物は後年ル・コルビュジェも称賛の言葉を放っている。図134は門番小屋のついた入口門。》

「ガウディの城」展カタログ

写真解説より

1989年刊行

後記