度重なる設計変更

ガウディが直接建設した門の面白さというのは下部のネオ・ゴシック・スタイルから始まって、鐘塔のピナクル先端の完全に既成概念から解放されたオリジナリティーのあるデザインへと移行していく、ガウディの作品系譜に完全に一致しているのが明快にわかることだ。
もう少し詳しく説明するならば、ビジャールは一二〇年前建築界で常套に使われていたネオ・ゴシック様式を使ってサグラダ・ファミリア教会を設計しているわけだが、建設続行を担当したガウディは設計変更をしているもののクリプト、アプスの周壁を同じネオ・ゴシックで設計している。若干違うのは、アプスの周壁で樋が蛇のかたちをして壁面をうねっていたり、ガーゴラ、ピナクルにもエキゾチックな動植物をモチーフとして使っていることぐらいであろうか。もっともこれはゴシック期の大聖堂でも怪獣とか魔女などのモチーフがよく使われていたからそれほど新しいことではないが、将来のガウディの奇妙きてれつなデザインの一端がここでチラリと顔を見せている。しかし全体としてはやはりネオ・ゴシックといえるだろう。