ガウディのデザイン・プロセス

ガウディは独自なデザイン・プロセスを持っていたことも分かっている。 ミケランジェロはサン・ピエトロのドームを建設した時、建設業者がアーチの曲率を間違えたことから南トリビューンのヴォールトにクラックが入って工事を中断せざるをえなかった。 ミケランジェロはそれまで模型を作ったことがなかったが、同輩からのサジェッションで、この事故以降模型を作るようになった。 これは粘土でまず形を決めて、その後木で作るという彫刻と同じ手法であった。 模型を設計の手段としたのはかなり古くからだが、現在ではこれがCGになりかわり、あるいは模型というとプレゼ用にしか作らない建築家が多くなってしまった。 ガウディは設計のプロセスの中で、模型を主な設計の手段として使っていた。
現在のサグラダ・ファミリアの建設工事ではジョルディ・ボネットのおかげでCAD図面や部材の製作には早くからロボットが導入されているが、ガウディはその晩年、サグラダ・ファミリアの工房で作り上げた設計チームを使って模型による設計をしていた。 この中には型職人マタマラ親子のほか石膏職人がいた。
ガウディにとって模型を作るということは主に二つの目的があった。 デザインのプロセス、つまり作り出されるべく空間を模型で確認していくこと、また、もう一方ではミケランジェロがやったような建設上での問題点をクリアしていくことだ。
現在の工事現場でも地下のミュージアムへ行くと石膏模型を作っていのが見えるが、ガウディは図面ではなくこの模型を使って工事を進めていた。