ガウディの彫刻制作

コロニア・グエルの教会の設計過程でガウディが図面ではなく三次元の模型で設計をしていたことが分かるのだが、更にガウディは彫像を作るときも同じような方法で作っていた。 つまり、それらしいモデルを探し、適当な衣装を付けさせ、これを三面鏡の前にポーズをとらせ写真を撮る。 この写真を元にして石膏でまずスケール模型を作るのだが、これを彫刻家に任せるのではなく、マタマラなどの型取職人にさせた。 彼ら型取職人には基本的に彫刻的なセンスはない、しかし実存のものから型を取るのは慣れているからこそガウディは彼らを必要としたのだ。 これを、ピナクルと同様これを飽きるまで眺め、一応の形が出来たところで石膏によって原寸の模型を作って所定の位置に置かせた。 また、それから眺め、マイナー・チェンジをして気に入ったら、やっと石工にそれを刻ませるのだ。 
しかも、この方法は彫刻だけではなく、切妻の鼻隠しのような馬鹿げたほど大型の建築エレメントのデザインを決めるときにもこのプロセスが使われたのだ。 中世的な経験主義の様相を見せながら、同時に近代の分析、科学的な方法論とを建築の設計でガウディは実行していたのだ。