セルダ案の前衛性

セルダの「都市改造と拡張の計画」、いわゆる「セルダ案」はグラシア市をはじめとする周辺小都市を厳格な格子状にバルセロナ市と結んだグリッド都市計画である。 このグリッドは海岸線と平行に切られて、二本の対角線がそのグリッドの上にオーバーラップされている。 グリッドの基準となっているブロックは一ブロックが四百メートル四方、つまりそれぞれのブロックは百三十三.三三メートルx百三十三.三三メートル角で、これに二十メートル幅の道路がとられている。また、ブロックは角を四十五度にカットされて、それぞれの交差部は一辺二十メートルの八角形の小広場が設けられている。
こういう非常に明快で、合理的な幾何学形でセルダはバルセロナの新市街を描いて、その後のモータリゼーションにも対応した現在のバルセロナの整然とした街並みを作った。
セルダ案の全体は併置された三つの二十ブロックx二十ブロックに構成されている。これを中心軸であるかのような一本の幹線道が貫いている。 これが現在のグラン・ビアである。 この幹線道はさらに十ブロックx十ブロックのグルーブにグリッドを分化し、さらに幹線道と三つのグルービングされる分割線とが生みだす交差部に五ブロック×五ブロックのグルーピソグが見られる。  この三つの種類のグル-ピングを基にして教会、市場、公園、病院等の公共施設が等分に配置されている。 つまり、救会は二十五ブロックごと、市場は百ブロックごと、公園は二百プロックごと、病院は四百ブロックごとにひとつという配置がされている。
ここで、都市はブロックという形で物理的に均等に区切られているばかりか、居住区、工場区、商業区といった用途区分もされていない、完全に同質な性格が街区全域にわたって与えられているのである。 つまり、無限に連続発展する可能性すらそこに考慮されている。 これがセルダ案の最大の特色である。 しかもその後の土地投機を原因とした歪みはあるにしろ基本的に均等、同等というセルダ案の原理原即を現在まで温存しているのがバルセロナである。


この分折についてはColegio de Ingenieros de Caminos, Canales y Puertos主催のセルダ没後百年記念展カタログ,17976年, pp. 82〜87を参照