ガウディを歩く

バルセロナのガウディ

シウタデーリャ公園 Ciudadela/Ciutadela

所在地:Passeig del Born

作品解説
一八七三年以降建設。 レウスから出てきた金属細工師の息子ガウディは、建築学校へ入ったが学資を稼ぐためにいろいろな事務所でアルバイトをしている。 彼の日記(一八七六年)を見ると、当時シウタデーリャ公園周辺の設計をやっていたフォンセレとの仕事が一番楽しかったらしく、彼に対しては批判的なことは全く書いていない。 このフォンセレは建築家ではなくマエストロ・デ・オブラだったのだが、父親はリウドムス出身の大工だったという因縁があり、ガウディが知人の少ないバルセロナで出たとき頼ったというのは容易に想像がつく。 フォンセレのもとでの仕事は周辺の鋳鉄のフェンス、アリバウ広場の手摺り、大滝、その水槽などに直接関係したと考えられて、また公園のすぐ西隣の、パリ旧中央市場レアールを真似たボルンの市場(一八七三年、十一月二十三日の日付が入った図面が残っている。現在はソリアによって図書館として改装計画中。)の実施設計用のドローイングを担当したとされている。 大滝のデザインは明らかにマルセイユのロンシャン宮に影響を受けているが、細部でガウディが後年よく使ったグロッタ、ドラゴンを師の目を盗むように目立たないところに使っている。 水槽は公園内の水道の水圧を調整するために六百立方メートルの規模で作られたが、その後壊されている。この水槽で有名な話は建築学校の「材料の耐久性能」のカリキュラムで、落第していたガウディがこれのプロジェクトを教授に見せたら、すんなり教授は彼の才能を見とめて合格点を出したというエピソードがある。
この公園は一八八八年のバルセロナ万博の会場となったところであり、現在もいくつかのパヴィリオンが残されているが、そのうちドメネク・イ・モンタネ-ルのカフェ=レスト・ランテ(現在動物学博物館)などがある。 ガウディがデザインしたトランスアトランティカ社のパヴィリオンは会期終了後撤去され現在残されていない。
アクセス:地下鉄(L1) Arc d'Triumf下車、歩いて十分。