オーエン・ジョーンズ

Owen Jones
生:ロンドン/1807年 没:ロンドン/1874年
 イギリスの建、装、著。ウェールズの毛皮商人の子。スペインはじめ地中海諸国を4年間にわたり旅し(1830年以降)、アルハンブラ宮などで東洋的な装飾を学ぶ。1851年にはラデンハムのクリスタル・パレスの内装、バサールのクリスタル・パレス(Bazaar, 1858年)などを残しているほか、『アルハンブラ宮の平・断面とディティール』、折衷主義のバイブルとさえなった『オーナメントの文法』を著している。
《参考文献》
Jones, O., and Goury, J., 『Plans, Elevations, Sections and Details of the Alhambra』, London, 1836-45年
Jones, O., 『The Grammar of Ornament』, London, 1856年
Jones, O., 『The Grammar of Ornament by exemples from various styles of ornament』, New York, 1972年

三交社刊 建築家人名事典より


アルハンブラ
アルハンブラを含め、この時代につくられたスペインの庭園は、このパティオの連鎖体として営まれているのです。パティオを包み込むように配されたイスラム建築は、その美すべてを中庭に向けて集約されており、殊に、獅子の庭と、それを取り囲む繊細な列柱廊においては、精緻な装飾的表現、絶妙なプロポーション感覚など、庭という表現形式における究極の美の世界が描き出されているように感じます。 安藤忠雄『建築に夢をみた』、NHK出版、2002年、224頁

西洋キリスト教文化がつくりあげたものの代表が、ヴェルサイユ宮殿なら、イスラムの文化がつくりあげた建築の粋は、このアルハンブラ宮です。「世界の七不思議」のひとつに数えられ、庭園は『コーラン』の中にある幻想的な「小川の流れる庭」そのものといわれています。その庭園、そして、シエラネバダの雪解け水を引っ張ってきたという水道・・・・、吉永小百合著『街ものがたり』、講談社、2003年、77〜78頁