バディアの工場 Los Talleres Badia

所在地:Carrer d´En Grassort, 10

1904年

ガウディは職人を常に抱えていた。そうすることでコミュニケーションも楽になる、やりたい事が容易に伝わる。鉄細工製作で色々なプロジェクトに携わったのはジョセップ、リュイスというバディア兄弟である。彼らはもともとはジョアン・オニョスのもとで仕事をしていた。オニョスはカサ・ビセンスの棕櫚の葉をあしらった門扉を製作した人で、ガウディの初期からの信頼のおける共同者であった。ガウディはカサ・ビセンス後も彼に仕事を依頼していて、グエイ館では正面入り口の鉄細工なども担当した。しかし、この工事ではガウディから難題を出されるのを恐れてガウディが現場に現れると逃げ回ったという。バディア兄弟はこのグエイ館でもオニョスと仕事をしたが、彼が引退するとガウディはオニョスの後継者として彼らを認めた。またそのためにバディアは独立した工房を作る必要がでてきた。そこでその工房をガウディは設計することになったのだが、設計料をもらう代わりにガウディが依頼した仕事から差し引くという清算をして兄弟の新たな出発を助けている。
バディア兄弟が実現させた傑作は何といってもラ・ペドレラで使ったバルコニーの手すりをはじめとする前衛的な鉄細工類であろう。
工場は現存しないのだが、それらしい建物は現存して現在ではその一部が建築家の事務所として使われている。

原型は跡形もなく消えている現在の様子