ジョセップ・フランセスク・ラフォイス・イ・フォンタナルス

Josep Francesc Ràfols i Fontanals (1889〜1965年)
スペインの建。画家。美術史研究家。

ラフォイス著のガウディについて書かれた最初の伝記

ガウディ研究者にとってなじみのあるこのラフォイスはガウディについて書かれた最初の伝記の作者だということだろうか。ガラーフの近くのビラノバで生まれている。ビラノバではラファエル・サラ(Rafael Sala Marco , 1891〜1925年)らのアーティストと友好を結んでいたが、1916年にバルセロナ建築学校を卒業、サン・リュックの美術サークルに加わり、そこで知り合ったセラミストのジョレンス・アルティーガス(Josep Llorens i Artigas, 1892〜1980年)とともに芸術家集団コウベットを作り、1918年には建築の展覧会を企画している。1922年にはイタリアへ遊学、そこでルネッサンス美術に啓蒙されて、さらには敬虔なカトリック信者となり、1923年には宗教アート友の会の秘書官とさえなっている。建築家としては作品はわずかにビラノバのメンデス邸(casa Méndiz, Vilanova, 1925年)しか知られていないが、これに明らかにアルベルティやブルネレスキの影響下が見て取れる。そして後年1926年に出版した『イタリアのルネッサンス建築, Arquitectura del Renacimiento Italiano』として集大成されている。
ガウディとは美術サークル、サン・リュックを通じて知り合い、サグラダ・ファミリアへ通っていたが、没後はガウディが残した膨大な図面、書類を整理して1928年に伝記を書き、これは4版を重ねている。この経緯もあり1956年にカテドラ・ガウディ(現在も残っている研究所)の初代の所長となる。
1943年には建築学校の美術史の教授となり、この時代にカタルーニャの世紀末運動を取り扱った『カタルーニャモデルニスモ芸術、El arte modernista catalán, 1943年』、『モデルニスモとモデルニスタ, Modernismo y modernistas, 1949年』などを刊行している。また、全3巻の『カタルーニャのアーティスト人名事典、Diccionario Biográfico de Artistas de Cataluña, 1954年』などを残しているが、信心深く、清貧を貫き1965年に没している。これにはガウディの人生観への影響を見逃しえない。